名古屋芸術大学は、本年度で第51回となります卒業・修了制作展を本学西キャンパスにて開催致します。
今、芸術創造の領野では、「生成AI」が描いた絵画がコンテストで優勝するなど、進化する人工知能が従来の作品観、作者・考案者観を大きくゆるがす時代となっています。
芸術分野ではつい最近まで、ただ利口な自動化が進化しただけの知能に、これまでの在り方や価値がそう容易く凌駕されないとするような楽観がありました。
しかし新たな知性にまで高められた人工知能は、従来の予想をはるかに超えた進化を辿っています。果たして50年後、100年後の世界でも、生身の人間が直接関わる創造が変わらず価値を保持し続けているでしょうか。おそらくその答えは「YES」です。
この度の卒業・修了制作展では、学生たちが日夜情熱を傾け続けた探究の成果が披露されます。
どの作品も、学生たちの気づきや喜怒哀楽の機微を端緒に、そこからの絶えざる試行を経て、
色や形、構造、素材、テキスト等の多様な表現形式に結晶化させたものです。
そしてそれらは皆、作者の体験、鍛錬、そして懐疑、逡巡、焦燥などに費やされた時間と思考の刻印でもあるのです。
こうした刻印に裏付けられた生成・創造こそが、提示されたものの圧倒的な強度と価値となっているように思えます。
皆様方には、どうかキャンパスまで直接足をお運び頂き、
人の手による創造物の素晴らしさと尊さ、そして強さの証人となって頂きますようよろしくお願い致します。
芸術学部長 萩原 周